バーモント大学臨床実習留学体験記

和歌山県立医科大学6回生  小畑 智彦

 私は今回本学の6年次の選択ポリクリ実習の一環として、アメリカのバーモント大学で4週間の臨床実習に参加させていただきました。私が臨床実習留学を応募したのは、医学の中心であるアメリカでの医療を自分の目で見てみたかったこと、日本とアメリカの学生の姿勢や文化の違い、また自分の英語がどのくらい通用するのかといったことに興味を持ったからです。最初は不安も大きかった留学ですが、終わってみると本当に充実した、二度と味わえないような素晴らしい経験になりました。
   実習は外科病理学教授の木田先生のもと、金沢医科大学、関西医科大学、愛知医科大学、和歌山県立医科大学から計7人が実習に参加しました。4グループに分かれ、1週ごとに内科、外科、病理、救急を回らせていただきました。私はまず1週目に内科のうち腎臓内科、緩和医療、消化器内科を見学させていただきました。内科では腎臓内科を回らせていただき、その中でも特に透析を中心として見学しました。豊食の時代となり日本でも透析患者が増加傾向にありますが、アメリカでも同じで、しかも日本より更に食生活が偏っているため、透析患者が年々増加しているようです。また学生に向けたセミナーにも参加させていただいたのですが、学生が時間の有効活用のためか、食事などをしながら受けていたのは文化の違いなのかなと思いました。その状況でも、積極的に回答したり、質問をしているところに学生の熱心さや意欲を感じることができました。内科の回診やカンファレンス、セミナーを通して、理解できなかった言葉が多かったこともあり、もう少しリスニング力や英語の疾患名を勉強していくべきだったと後悔しました。ただ、拙い英語ながら質問をした時は、「Good question!」と褒めてくれ、丁寧に教えていただきました。毎日2つ以上の質問を心掛けていたので、積極的に質問し実践できたことは良かったと思います。
   病理学ではポリクリで見ることのできなかった、迅速診断や剖検などといったものも見ることができました。手術の開始時間が大体同じのため、迅速診断がほぼ同時刻に重なり渋滞していたのですが、役割分担がしっかりされており素早くかつ確実に診断されていました。また外科では外来見学と手術を、救急では家庭医の仕事と救急外来を見せていただきました。アメリカの外来では、患者が各部屋に待機しており、そこに医師が出向くというシステムになっていました。また患者と医師の関係も、握手で始まり、雑談をし、凄くフランクな関係で診察を進めていました。医師と患者の信頼関係を強めることが、患者の本音を引き出し、患者の気持ちを汲み取り治療方針を決定し、その治療方針についても信頼され、より良い医療を行うことができると考えられているようです。特に家庭医ではコミュニケーションや信頼関係が最も重要視されていました。
   今回の実習を通して様々な体験をすることができました。また木田先生のオフィスでお話しする機会が多かったのですが、様々な経験をされてきている木田先生の話にはいつも驚くことばかりで、とても楽しかったです。また週末にはスノーボードに行ったり、国境を越えてモントリオールに行ったり、ボストンやニューヨークにも行きました。木田先生と奥様にはBurton本社やBen&Jerry’sの工場など、バーモント州の案内もしていただきました。こういった実習や週末を共に過ごすことにより、留学に来ていた他大学の人たちとも凄く仲良くなりました。このような人との繋がりも大切にしていきたいと思います。
   最後に、留学にあたりお世話になった木田先生と奥様、ブレンダをはじめバーモント大学の皆様と、この貴重な機会をくださ

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