ハワイ大学?海外臨床実?習プログラ?ムを終えて?

和歌山県立医科大学 6年 富山 まりな

   今回、4週間上記のプログラムに参加させて頂きました。私は、本学に海外で臨床実習を行えるチャンスがあると知った時から応募したいと願っていました。ですが、ハワイ大学のプログラムに参加するといざ決まってからは、先輩方の話を伺えば伺うほど「1人で実習を乗り切れるだろうか」という不安に襲われ、ハワイへと旅立つときの心境は不安95%、期待5%くらいの心境だったと思います。そして、ハワイに到着してすぐ、入国審査で学生ビザを取得していないにも関わらず、1か月滞在することを不審に思われ、約3時間特別室に拘束されてしまいました。学生ビザの取得は必要ないこと、入国審査での受け答えについては、事前にハワイ大学の先生と何度も確認しており、その通り行ったのですが運が悪かったようです。審査官の質問にひたすら答えて、就労しない旨や単位互換について説明したり、スーツケースをあけられて中身を隅々まで調べられる経験は
もちろん初めてでした。内心ドキドキでしたが、毅然とした態度を演じきり入国が認められた時は本当にほっとしました。
    そんな緊張の滑り出しでしたが、コミュニケーションを諦めなければ一人でもトラブルは解決できることを学び、少し自信がついたと思います。不安95%だった私には、ある意味良いスタートだったのかもしれません。
   実習は初めの3週間をKuakini病院で、最後の1週間は併設されている渡慶次先生のクリニックで行いました。Kuakini病院があるエリアはワイキキからバスで1時間ほど離れた場所で、ハワイの明るくキラキラしたイメージとは異なり、「観光地ではないハワイ」を体感することができました。
   Kuakini病院での実習は、朝6時からのラウンドから始まり、自分の担当の患者さんへの問診、診察などをさせてもらいます。そして自分なりにProblem, Assessment, Planを考えProgress Noteを作成し、チームの先生に質問、相談をします。上級医の先生にプレゼンをする機会を与えてもらうこともあります。この他にICUでのチームカンファ、研修医室での症例検討ミーティングなどがあります。また自分のチームがOn Callの日は、ICU患者の引継ぎや救急車の対応、新患の入院などが主となり、もう一人担当の患者さんをあててもらい、問診、Problem, Assessment, Planを考えAdmission Noteを作成します。
   日本での臨床実習でも経験があることも多かったですが、1週間に2人の担当患者さんを診ることに慣れるまでは大変でした。また大きく違ったのは日本で行う以上に、「君が担当医だったら、今の患者の問題は何だと思う?それに対しどう対処する?」など、自分の考えを問われます。患者さんの状態について理解が深まっていないと、自分の考えをもつことはできないので、チームの先生に何度も質問をしていました。何度説明を聞いてもわからないこともあり、その場合は持ち帰って推測を立ててもう一度次の日に確認するなど、わかるまで挫けずに聞くことを自分のルールにしていました。
   何度、同じことを質問、確認しても、その度に説明の方法を変えたり絵を描いたりしながら説明をしてくださり、チームの先生方には本当に感謝しています。
    最後の1週間の実習は、朝5時半からNursing Homeでバイタルをとって問診をすることから始まりました。毎朝患者さんと色々なお話をさせてもらい、1週間後にはお別れするのが寂しくなる程で、心温まる実習をさせて頂くことができました。また、渡慶次先生には居合道の手ほどきの他、日本の国際情勢における立ち位置など、これから世界を視る目が拓けるお話をたくさんして頂きました。国際化が進む現代で、日本人としてのアイデンティティをしっかりと持って、自分の意見を言えるようになることは自分の身を守ることにもつながるのだということを実感しました。先生のお話を伺ってから、医学以外に私達が学ぶべきことはまだまだ多くあり、もっと歴史、政治、国際情勢について知り自分の意見を持てるようになりたい、と強く思いました。
    ハワイで過ごした一か月は毎日全力でした。自分の成長が感じられず落ち込むこともありましたが、数々の素晴らしい出会いに救われました。移民が多いハワイなので、先生方のこれまでの歩みを伺うのもとても興味深かったです。Uberのドライバーさんに人生相談に乗ってもらったり、気の合うルームメイトに恵まれ将来の話を相談しあったり、他愛もないことで大笑いしあったことも良い思い出です。大変で体力的にきついこともありましたが、「しんどい、帰りたい」などネガティブな気持ちになることは一瞬もありませんでした。
    この1か月は私の人生の糧とし、より一層精進していきます。このような貴重な機会を提供してくださり、本当にありがとうございました。温かくサポートしてくださったハワイの先生方、本学国際交流センターの皆様には大変お世話になり、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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